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ー溶接割れの種類や原因とは?対策やその他の不良についても紹介ー

2024.04.26

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「溶接の割れって何?」

「割れはどのようにして起きるの?」

 

溶接作業の欠陥として、「割れ」と呼ばれるものがあります。割れとはどのようなものであるのか気になる人も多いのではないでしょうか。

 

溶接における割れとは、その名の通り「溶接部に割れ目が入ってしまうこと」です。

 

割れの種類の内訳は、以下のように分類されます。

高温割れ(凝固割れ・液化割れ)

低温割れ(ルート割れ・止端割れ・ラメラテア)

 

今回は、溶接の割れの原因や種類、対策について、溶接のプロが徹底解説します。

 

溶接業務にかかわる方は、ぜひ知識として学んでおきましょう。

 

溶接における高温割れの原因や対策とは? 

ここからは、高温割れの起こる理由や種類、対策を説明します。

 

高温割れは部位ごとの凝固温度が異なることで起こる 

高温割れの原因は、溶接の材料に含まれる硫黄やリンなどの成分が不均一になってしまうことで、部位ごとの凝固温度が異なってしまうこととされています。

 

そもそも、溶接の割れとは、溶接部に亀裂が入ってしまうことです。

 

割れの一つである「高温割れ」とは、接合する金属や熱が影響する部分が高温状態にある時に割れてしまう現象です。割れる位置としては、最後に凝固する部分で起こる場合が多くなります。

 

溶接中や冷却中に高温となっている場所で起き、溶接直後に割れることがほとんどです。

 

高温割れは、「凝固割れ」と「液化割れ」の2種類に分けられます。

 

高温割れの種類 

ここからは、高温割れに分類される「凝固割れ」と「液化割れ」の説明をします。

 

凝固割れ 

凝固割れとは、高温割れのなかでも頻繁に起きる現象です。

 

溶接金属が凝固する時におこる収縮ひずみに耐えられず、開口してしまうことによって発生します。

 

溶接が完了する直前に起こることが多いものの、拘束道具を使っているときや、アルミ溶接の際にも発生するといわれています。

 

液化割れ 

液化割れは、溶接熱が影響する部分が、結晶粒の融点が下がって液化する温度に加熱された場合に起こります。

 

凝固割れは、凝固する際に発生する割れであることに対し、液化割れは、多層の溶接時に、前の溶接層が次の溶接層に溶かされることで起こるという違いがあります。

 

高温割れを防ぐためには? 

高温割れを防ぐためには、以下の4点に注意することです。

 

・延性を低下される可能性のある硫黄やリン、ケイ素の量を母材から減らす

・溶接速度を下げる

・トーチ操作を正しく行えているか確認する

・ビード(接合部分の盛り上がっている部分)の継ぎ目処理を丁寧に行う

 

高温割れが起きた原因を分析し、それに応じた対策を考えることが大切でしょう。

 

溶接における低温割れの原因と対策 

ここからは、低温割れに関する原因や種類、対策について解説します。

 

低温割れはさまざまな要素が原因となる 

低温割れとは、200℃〜300℃程度の低い温度で発生する溶接割れのことを指します。溶接後の約24時間〜72時間以内に起こることから「低温遅れ割れ」ともいわれることも。

 

また、引張応力(延ばされる時に原形をとどめようとする力)、溶接部の急熱、急冷による硬化、溶接部への水素の侵入など、おもに3つの要素が組み合わさることによって起こります。

 

これら3つの要素のうち、どれかを取り除くことで、低温割れを防止できるとされています。

 

低温割れは「ルート割れ」「止端割れ」「ラメラテア」に分類されます。

 

低温割れの種類 

ここからは、低温割れの種類を説明します。

 

ルート割れ 

ルート割れとは、ルート部に外の力が集中して加わることで発生する割れを指します。

 

ルート割れは溶接部への水素の侵入による低温割れが起こることが多いものの、まれに高温割れによっておこることもあります。

 

防止するには、ルートパスに割れが生じる前に次の層を溶接することで、直後熱と同じような加熱硬化が得られて割れにくくなりますよ。

 

止端割れ 

止端割れは、止端とよばれる、母材と溶接ビード(接合部分の盛り上がっている部分)が交わっている部分から発生する低温割れです。

 

ルート割れと同様に、外からの力が集中して加わることで割れが起きることが多いです。ほかにも、多層溶接における接合箇所同士の熱の影響によって、高温割れが起こることも。

 

止端割れが発生すると、溶接部の強度が低下し、耐久性や信頼性が損なわれる可能性があります。

 

ラメラテア

ラメラテアとは、溶接継手部において、熱影響部やその隣接部に母材表面と平行にはく離状に発生する溶接割れの一種です。おもに、厚い鋼板の溶接時に発生することがあります。

 

ラメラテアの原因は、溶接時に発生する収縮力によるものです。特に、溶接量の多い厚い鋼板では、収縮力が母材の厚さ方向に引張力を作用させ、その結果、母材の板厚方向に溶接割れが発生します。

 

ラメラテアを防ぐためには、適切な鋼材を選定することが重要です。たとえば、S含有量を低減した耐ラメラテア鋼などを使用するという方法があります。

 

低温割れを防ぐには? 

高温割れを防ぐためには、以下の3点に注意することです。

 

・硬化を防止し、水素を抜けやすくするために予熱を行う

・300℃前後の温度でおよそ1時間程度の後熱処理を行う

・急熱急冷を避けるために適切な太さの溶接棒を選ぶ

 

低温割れは、先ほど述べたようにさまざまな要素が重なることで起きます。

 

割れのリスクとなるものを一つひとつ取り除くことで、防止できるようになるでしょう。

 

割れ以外の溶接不良にはどのようなものがある? 

最後に、割れ以外の溶接欠陥について説明します。

 

アンダーカット 

アンダーカットは、溶接の速度が速すぎたことにより、溶接部分の金属が満たされず、ビード止端付近の母材が溝状にへこんでしまうことです。

 

ビードの側面が母材よりもへこんでいることから、応用集中(外からの力が集中的にかかること)が起こりやすく、割れへとつながる可能性があります。

 

アンダーカットを防止するためには、溶接速度を遅らせたり溶接条件を変えたりする必要があるでしょう。

 

オーバーラップ 

オーバーラップとは、金属が多いことから母材を溶かさずに、母材上で冷えて固まってしまう状態です。

 

アンダーカットとは逆の現象で、溶接速度が遅いことや電流が低すぎることで、金属がビード止端部に溢れ出てしまいます。

 

溶接速度を速めることで、防止できる場合が多いです。

 

溶け込み不良 

溶け込み不良は、設計上溶け込むべきところまで溶け込まず、溶け込まない部分が残ったまま溶接が終えられている状態です。

 

溶け込み不良が起こることで、耐圧性や耐腐食性が低下するため、長い間品質を保てなくなる可能性があります。

 

溶接電流を調整しアークの力を強くすることで、不良を防げます。

 

まとめ 

 

この記事では、溶接の割れの原因や種類、対策についてわかりやすく説明しました。

 

溶接における割れとは、その名の通り「溶接部に割れ目が入ってしまうこと」を指します。

 

割れの種類は、以下のように分けられます。

高温割れ(凝固割れ・液化割れ)

低温割れ(ルート割れ・止端割れ・ラメラテア)

 

溶接工として働く方は、不良の原因や対策について把握しておくようにしましょう。

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